■治療を終えてから

アザを持って生きた、思春期からの十数年、アザで悩みクヨクヨしている自分が「情けなく恥ずかしい」と思い、随分苦しみました。
人前ではつとめて明るく振舞い、悩んでいる事を悟られないよう常に気を張って生きて来ました。
しかし、明るく振舞えば振舞う程、アザで悩む心とのギャップが広がり、益々自分を追い詰めました。

この病気は「痛みを伴わない」「生死に関わらない」為、治療法の開発も後回しになった感があります。
つまずいてヒザ小僧を擦りむいた痛みは、多くの人が経験しているでしょう。
でも、アザがあって「心が痛い」、その痛みを経験をしている人は少ないのです。
目に見えない心の傷は、ジワジワと痛みを増し、消える事はありません。
この痛みを伝えられないもどかしさ、先が見えない事への不安感。
感情を押さえきれず、死にたいと思った事も何度かありました。
そんな時、幸いにも支えてくれる人が常に周りに居た事で、ここまでやってこれたと思います。

「あざがあって辛い」と感じる事は、恥ずかしい事ではありません。
むしろ、自然な事だと思います。
「辛くて、苦しくて、泣いてもいいんだよ。我慢する事はないんだよ。」と、貴方に伝えたい。
そして、その苦しみを克服する為に、戦う勇気を持ってほしい。

数年前までは、私のアザがなくなるとは、夢にも思いませんでした。
でも、アザが消えた事、これは現実です。
治療法がまだ開発されていないアザも数多くありますが、太田母斑が完治するアザになったように、 すべてのアザが完治する日が必ず来ると思います。
医療は日々進歩しています。
「待つ」事も、治療の一つです。